企画脳に向けて「ビジネスを考えるためのツール」4回連載 (3)
第3回 ビジネスモデル検討手法(ビジネスモデルキャンバス BMC)と生成AI(GPT)
ポイント:経営のフレームワークは知的財産の方向を考える上で役立つ
ビジネスモデルも良く使われる用語ですが、定義は曖昧なことが多いようです。クロスSWOT(前回)で検討された戦略を、事業イメージ(ビジネスモデル)にして戦略の妥当性を検証する必要があります。ここではビジネスモデルキャンバス(BMC)というビジネス検討のフレームワークをもとにビジネスモデルについてご紹介します。
BMCとは、ビジネスモデルを検討・評価するためのシンプルなテンプレ―卜です。ビジネスモデルを3つの領域(顧客領域(図の右上半分)、自社とパートナー領域(図の左上半分)、コスト収益領域(最下段)、中央に自社の提供価値)、9つの要素で表現しています。ビジネスモデルのデザインに必要な要素を分かりやすい構造で、新規事業の検討、既存事業の課題抽出や定期点検などに活用できます。
BMCを使ってビジネスモデルを議論する時は、中央の提供価値を真剣に考えてみてください。モノの時代とは異なり、人々が共感する価値は大きく変わってきています。「ウェルビーイング」というキーワードはご存じでしょうか。「すべてが満たされた状態かつ継続性のある幸福」を意味するそうです。ぼんやりしていますが、企業が提供するモノやサービスは、この人々の幸福にどのように寄り添えるでしょうか。このような観点で価値を考えていくことが必要になっています。ESGやSDGsなどはその例です。
自社の提供価値に世の中はお金を払ってくれるのだろうかを、顧客の目線で検証していく必要があります。また、自社の強みとパートナーとの共創をどう作用させればいいのか、デジタル技術で顧客接点を変えられないか、収益の流れをデジタルでサポートできないかなどいろいろな工夫がでてくるかもしれません。それぞれのポイントは知的財産が活躍する部分です。
やり方が分からない場合は、生成AI(GPT)を試しに使ってみてください。幸福までは見通してはくれませんが、作戦の選択肢のイメージを提示してくれます。GPTにSWOTとクロスSWOTをやらせたら、その続きでBMCにトライさせてみてください。生成AIは質問の文脈を維持しながら答えてくれます。
下図は、ある会社の流通情報から生成AIに作成してもらったBMCです。一般流通情報なので目は粗いですが、議論のきっかけはつかめます。
生成AIはこの連載でご紹介するツールや手法は既に学習済みです。ターゲット分野のデータを上手に入れてやれば、貴社の新たな作戦を提示してくれるかもしれません。ただし、任せ過ぎにはご注意を。
ニーズエクスプローラ社はGPTの知財業務応用を研究しています。
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