企画脳に向けて「ビジネスを考えるためのツール」4回連載 (4)

第4回 価値検討の手法 ―バリュープロポジションキャンバスと生成AI(GPT)

ポイント:「その価値は?」の問いに対する答えが知財の源泉

 バリュープロポシションキャンバス(VPC: Value Proposition Canvas)とは、連載(3)でお話したBMC(Business Model Canvas)の価値提供を検討するためのフレームワークです。

 損益中心のアタマでいると、「顧客価値」が重要といわれても何をどう議論すればよいか分かりません。表面的でうすっぺらな議論からの顧客価値は長続きはしませんし、顧客には中身のうすさにすぐ気づかれてしまいます。

 自社の商品サービスのターゲット領域について考えてみましょう。顧客は、何を得られれば(ゲイン)幸せなのか、何を苦痛(ペイン)と感じているのかを想像し、それらに対して自社が提供する価値(バリュープロポジション)で解決できること、できないことを考えてみることで、価値提供の構図を具体化することができます。下記のフレームワーク図で考えます。

 顧客イメージ(ペルソナ:性別、年齢、家族構成、生活シーンなど)を設定し、顧客はどうしたいのか、なりたいかを皆で議論しながら顧客プロフィールを埋めていくとやり易いと思います。

 前回ウェルビーイングのお話をしました。「すべてが満たされた状態かつ継続性のある幸福」をいいます。ウェルビーイングは一時的ではなく、人生につながる連続的、長期的なものです。今、社会の価値観は「モノ」から「コト」へ変わってきていると皆さんも実感されていると思います。「コト」を考えるということはまさしくウェルビーングを考えることです。想定したペルソナの未来の人生まで思いを馳せて、その人にとっての価値は何かを考えるという、少々、難易度の高いアクションですが挑戦してみましょう。これにより知的財産活動の新しいフォーカスが生まれます。

 フレームワークが分からない場合は、前回同様、生成AI(GPT)を使ってみてください。ウェルビーイングまでは見通してはくれませんが、VPCのゲイン、ペインを提示してくれます。下図は、ある会社の公開情報から生成AIに作成してもらったVPCです。公開情報なので目は粗いですが、議論のきっかけはつかめます。

生成AIはこの連載でご紹介するツールや手法は既に学習済みです。ターゲット分野のデータを上手に入れてやれば、貴社の新たな作戦を提示してくれるかもしれません。ただし、任せ過ぎにはご注意を。

 ニーズエクスプローラ社はGPTなど生成AIの知財業務応用を研究しています。

キーワード:バリュープロポジションキャンバス、ペイン、ゲイン、モノ、コト、ウェルビーイング、ペルソナ、GPT、生成AI

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