両利き経営における知財部門の役割 4回連載(4)
第4回 両利き経営における知財部門の役割
ポイント:知財部門はあらたな知財を生み出すビジネス創出に積極的に入り込むべき
「両利き経営」という言葉がありますが、これは、探索:「(新たな技術や製品、事業)を探索する(見つけ出す、創造する)」、深化:「(既存の技術や製品、事業)を深化させる」の2つの方向性のバランスを取りながら経営する事を意味しています。
最近、新規事業の検討で悩まれている会社が多いと良く耳にします。コンサルティング会社を入れて検討するような場合、その結果が、あまりにも会社の現状からかけ離れ、実現性の低いことも良くあるケースだと思います。
これは、「両利き経営」の「探索」のケースでコンサルの結果が、自社の保有するリソース(技術、経験)の使用ではなく、まったくの新規に近く、リスクの高い提案になっているのではと推測されます。経営層は、最終的なリスクテイクを判断するわけですが、これに迷い、時間切れになるのだと思います。
この「探索」において自ら構想し、実践する能力がないと、このようなことの繰り返しとなってしまいます。あらためて、「知」の門番である知財部門がこの「探索」で活躍する余地はたくさんあります。また活躍するべきでしょう。新しい時代における知財部門は、あらたな知財を生み出すビジネス創出に積極的に入り込む必要があるのではないでしょうか。
そのためには、知財部門が企画部門・研究開発部門・事業部門との連携を深め、知財+有価証券報告書等から経営判断を支える現状(自社の強みを発揮できる事業領域、独自技術との関連性、ライバルの動向、イノベーションを牽引するGAFAMや府の動向、市場規模など)を分析し情報提供することが求められてきます。(すでに求められているのだと思います。)
その第1歩は、この連載で挙げてきた、知財以外の根拠ある公開情報(エビデンス)も分析し、大きな流れを掴み経営に資する情報提供を行う事ではないでしょうか。
第2回の最後にも述べたように、これらの情報は、知財戦略と整合性を保っていると解釈し、どのような知財戦略がとられるか?皆さんの想像力を働かせてみてください。
キーワード:知財部門の役割、両利き経営、自ら構想・実践、知の門番