知財業務に生成AIを活用する (2/4)

第2回 生成AIによる特許分析用プロンプトの工夫

ポイント:生成AIの言語処理能力を活かす

 

 第1回で読み込ませた請求項の文脈を、生成AIに解析してもらいましょう。請求項の書き様を調べることで、権利化のポイントが見えてきます。事例は、請求項の記述から、[主語]と[さ行変格動詞]の組み合わせを聞いています。

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  • 画像認識学習装置が備える(請求項1)
  • 画像識別器が出力する(請求項1)
  • 類似度が高い(請求項1)
  • 小さい値を出力する(請求項1)
  • 第一の損失関数を用いる(請求項1)
  • 入力された画像が実画像である場合には、小さい値を出力する(請求項1)
  • 入力された画像が人工画像である場合には、大きければ大きいほど小さい値を出力する(請求項1)
  • 第二の損失関数を用いる(請求項1)
  • 値が小さくなるようにパラメータの反復学習を行う(請求項1)
  • 学習部が画像生成器のパラメータの反復学習を行う(請求項1)
  • パラメータが学習された画像識別器を用いて、帰属確率を求める(請求項3)
  • 学習部がパラメータの反復学習を行う(請求項5)
  • パラメータが学習された画像識別器を用いて、認識結果を出力する(請求項5)
  • コンピュータを機能させるためのプログラム(請求項6)
  • 以上が、請求項における主語とさ行変格動詞の組み合わせです。

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 さ行変格動詞でないものも含まれていますが、請求項を構成する単文の構造がみえてきます。

 請求項をざっくりと要約させることもできますが、できるだけ、ぬけをなくして見ていきた場合は、読解の補助として文の構成を整理させることができます。

 次は、特徴語とその頻度を多い順に抽出させました。

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特許JP2019028097Wから特徴語を抽出し、頻度の高い順に並べます。以下に抽出結果を示します(頻度が同じ場合は、アルファベット順でソートされます):

  • 画像認識学習装置 (6回)
  • 入力される (4回)
  • 画像識別器 (4回)
  • 帰属確率 (4回)
  • 人工画像 (4回)
  • 出力する (3回)
  • 損失関数 (3回)
  • 反復学習 (3回)
  • パラメータ (3回)
  • クラス (2回)
  • 所与 (2回)
  • 真偽確率 (2回)
  • 値 (2回)
  • 小さい (2回)
  • 大きい (2回)
  • 学習部 (2回)
  • 実画像 (2回)
  • 類似度 (1回)
  • 用いる (1回)
  • 学習途中 (1回)
  • 反復学習回数 (1回)
  • 生成する (1回)
  • 画像生成器 (1回)
  • 認識結果 (1回)
  • 入力する (1回)
  • 求める (1回)
  • 機能させる (1回)
  • プログラム (1回)
  • コンピュータ (1回)

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生成AIの度を検証してみましょう。検証のため、プログラムで名詞(複合名詞)を拾って比較しました。

■上記の生成AIの認識した特徴語(名前でソート)

類似度,用いる,反復学習数,反復学習,認識結果,入力する,入力される,値,大きい,損失関数,生成する,人工画像,真偽確率,小さい,所与,出力する,実画像,求める,帰属確率,機能させる,学習部,学習途中,画像認識学習装置,画像生成器,画像識別器,プログラム,パラメータ,コンピュータ,クラス

■プログラムで複合名詞(2文字以上)を取り出した結果  ほぼ一致したキーワードには〇印

〇類似度,〇反復学習数,〇反復学習,〇認識結果,〇入力,〇損失関数,〇前記反復学習,前記第,〇前記推定真偽確率,〇前記人工画像,〇前記教師帰属確率,〇前記学習部,前記各クラス,〇前記画像生成器,〇前記画像識別器,前記画像,請求項,生成,推定真偽確率,〇人工画像,所望,出力,実画像,〇教師帰属確率,記載,〇帰属確率,機能,〇学習部,〇学習途中,学習,各クラス,画像認識方法,画像認識装置,〇画像認識学習方法,画像認識学習装置,〇画像生成器,〇画像識別器,画像,〇プログラムパラメータ,ステップ,〇コンピュータ,〇クラス

 以上からわかるように、精度はかなり高いように見受けられます。

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 このように、プロンプトで入力した請求項が生成AIの分析の「土俵」にのっていれば、得意の言語処理能力をつかって様々な依頼をこなすことができます。事例では請求項を「単語」と「品詞」に分解し、関係性を調べて答えています。

対象データが認識されているうちは、やり取りはスムーズに進みます。注意が必要なのは、質問の文脈がそれてしまったときに、当該データが見えなくなることです。生成AIが別の文脈にそれてしまうことがあります。そのときは、再度プロンプトでデータを入力することが必要になります。

 現在の生成AIの特性を知ったうえでその価値を引き出して知財業務に応用することを考えてください。ただし、生成AIに頼り過ぎにはご注意を。人間による検証が必要であることは変わりません。

ニーズエクスプローラ社は生成AIによる知財業務の改革をご支援いたします。

キーワード:特許、請求項、生成AI、ChatGPT、特徴語、さ行変格、形態素、単語と品詞

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